研究課題/領域番号 |
20031020
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荒殿 誠 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20175970)
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研究分担者 |
松原 弘樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00372748)
瀧上 隆智 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40271100)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2009年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2008年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | イオン液体 / 全反射XAFS / 溶媒和構造 / 表面吸着膜 / イオンの水和状態 / 界面熱力学 / 混合吸着膜 / イオン液体吸着膜 / 吸着の相図 / 剰余ギブズエネルギー / 表面張力 |
研究概要 |
(1) イミダゾリウム系イオン液体である1-decy1-3-methylimidazolium bromide(以下DeMIMBrと書く)の水溶液/空気表面吸着膜中での臭化物イオンには、水溶液中と同じように6水和状態のものと4水和程度でイミダゾリウムカチオンとイオンペアーを形成しているものの二つの状態がある。 (2) 通常、陽イオン界面活性剤と非イオン界面活性物質は、イオン-双極子相互作用によるシナジズムのために混合吸着膜において混ざりやすくなる。ところが1-hexyl-3-methyl imidazolium tetrafluoroborate(以下HMIMBF4と書く)と1-ブタノール混合系の吸着膜では、陽イオン-非イオン混合系であるにもかかわらず、混ざりにくくなるという全く逆の結果となった。これはイミダゾリウムカチオンとBF4アニオンの強い静電相互作用により、吸着膜でイオンペアーが形成され、したがって陽イオン-双極子相互作用が有効に働かないことによると結論した。 (3) カチオンを共通にもつ1-hexyl-3-methylimidazolium bromide(以下HMIMBr)とHMIMBF4の混合吸着膜の研究により、ほぼ全混合組成領域において臭化物イオンは水溶液中と同じように6水和状態のものであることが全反射XAFSスペクトル解析から明確に示された。すなわちBF4アニオンはイミダゾリウムカチオンの近くで水素結合を主体としたイオンペアーを形成し、臭化物イオンは拡散電気二重層にフリーの6水和状態として存在し、対イオン分離がおこっていると考えられる。 (4) DeMIMBrでは飽和吸着での占有面積が0.57nm2程度まで緩やかな変化が続いているが、HMIMBF4では飽和吸着での占有面積が0.71nm2程度と大きい一方で、曲線がほぼ垂直に立っていることが明らかである。したがってHMIMBF4では1分子当たりの占有面積は炭化水素やイミダゾリウムリングの断面積(それぞれ0.18nm2、0.32nm2程度)よりも大きいにも関わらず吸着膜の等温圧縮率が非常に小さく、密に詰まった状態にあることがわかる。この状況はイミダゾリウム環に水平方向にほぼ隣接した場所にBF4アニオンがイオンペアーと形成して存在すると考えられる。
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