研究課題/領域番号 |
20032006
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
稲葉 政満 東京芸術大学, 美術研究科, 教授 (50135183)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2008年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 和紙 / 手漉き / 機械漉き / 製造技術 / 襖紙 / 技術革新意欲 / 機能紙 / 製紙技術 |
研究概要 |
和紙製造技術は、長繊維である楮などを使用して良質な紙を製造する優れた方法である。短繊維を用いて大量生産する技術として進歩した機械漉き洋紙製造技術が、和紙製造の省力化にどのように導入されたかについて研究した。 粘剤を用いた機械漉き和紙は1895年に円網抄紙機を用いて初めて製造された。しかし、楮は長繊維であるために、機械漉きすることは難しく、本格的な楮紙の製造は1955年に高知で開発された懸垂式短網抄紙機が導入されて以降である。本抄紙機はロータリースクリーン(後にロールスクリーン)が絡んでしまった楮繊維束を取り除き、抄紙網部をゆっくりと横揺りすることで良好な紙の地合を実現し、薄くて均一なシートを抄紙できるようにした。本機は廉価でありながら、操業性がよい。 戦後画仙紙に移行した西島と因州では、手漉き工程の省力化のために流動式の手漉き装置の開発と導入を行っている。これは、画仙紙の場合、紙が薄く一度の組み込みで紙層を形成することが可能なことと、繊維長の短いものを主として使うためと考えられる。津山の中尾、美濃の後藤らが開発した装置を元に、西島ではセーコー式、因州では半自動式そして、紙床(湿紙を伏せるところ)への移行などまで自動化した機械(大野・松木園式、中小企業事業団式)が開発されている。ただし、全自動の機械は装置が複雑になりすぎ、シンプルな装置としての半自動式が実際には使われている。 技術革新の解釈の手法として中森の伝統産業の類型化手法により越前和紙襖紙と小問紙産業の近年の技術革新と社会受容についての分析を行った。 機械(省力)化は良質な和紙を、安価に多量に供給することを可能としたが、生活様式の変化や各種の新材料の市場への導入により、和紙の売れ行きは低下している。そこで、和紙製造法で開発した技術を用いて、化繊紙そして機能紙の開発への技術革新が行われた点についても検討した。
|