研究課題
特定領域研究
極薄シリコン酸化膜の長期信頼性の劣化要因について研究し、電圧ストレスによる膜中の電荷捕獲速度は大きく膜質に依存するが、絶縁破壊寿命はむしろ界面・表面の平坦性に大きく支配されることを明らかにした。つまり、局所的に薄膜化した場所で、劣化が先行し、絶縁破壊しきい値に早く到達し、そこで絶縁破壊に至ることが明らかとなった。このような薄膜化モデルは、すでに報告されているが、実証されたのは今回が始めてである。そして、原子的に平坦なシリコン表面を用いることにより、熱酸化により、表面・界面のラフネスが変化し、膜厚とともに、均一性が劣化することが明らかとされた。熱酸化シリコン酸化膜表面の同一箇所を観察することにより、熱酸化の進行とともに、ラフネスの高低差が大きくなる。つまり、初期に形成された凸部が、その後の熱酸化とともに、高さを増して成長していくことが明らかとされた。初期シリコン表面は原子的に平坦であることから、凸部になるという特別な要素は見出すことはできない。加えて、表面・界面の凹凸の対応に注目すると、表面の凸部は界面の凹部に対応し、表面の凹部は界面の凸部に対応する箇所が多く見られた。つまり、界面での局所的な酸化が、表面の凸部成長に繋がっていることが明らかとなった。これらの微視的な観察は、熱酸化を原子論的に議論する上で極めて有効な情報を提供することが明らかとなった。また、熱酸化におけるこのような不均一酸化は、MOSFETなどの特性の信頼性ばかりでなく、初期特性にも、影響を与え、種々の特性バラツキをもたらす原因になることも、容易に推定でき、さらに、不均一性を抑制する技術の開発が必要である。
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