研究概要 |
本研究では,従来の触媒膜の生成技術で困難である大きな面積を持つゼオライト膜の製造を避け,容易な小さな触媒粒子の表面にゼオライト膜を生成させ,ゼオライト膜を持つカプセル型の触媒反応場を設計した。コアの触媒とシェルのゼオライト触媒膜に別々の反応及びin situ分離機能を与え,新しい触媒反応インテグレーションシステムの創成,およびシンプルかつミクロ化した反応分離プロセスを追求する。各種ゼオライト膜及びメソポーラス膜を触媒ペレット表面へ構築し,より多彩なカプセル触媒の実現とともに,連続反応をはじめ,複数の化学反応を一括完成できる普遍的システムを追及する。 本年度は,ジメチルエーテル(DME)の直接合成用カプセル触媒を合成した。この触媒はコアにメタノール合成触媒,シェルに固体酸触媒(HZSM-5)を持つカプセル触媒で,合成ガスはコアの触媒でメタノールを生成し,シェルのHZSM-5の酸触媒作用により,脱水反応を受け,DMEを生成する。本研究ではコアにメタノール合成触媒であるCuZnOペレット触媒を用い,先ずアルミナを含まないシリケート膜を水熱合成で調製してから,HZSM-5膜を調製しカプセル触媒を合成した。 DMEの合成反応を行うと,カプセル触媒は総炭素転化率は21.0%とそれほど高くなかったが,DMEの選択率は78.6%と,ICI触媒とゼオライトの物理混合触媒の40.5%よりもはるかに高かった。カプセル触媒では生成する全てのメタノールは必ずゼオライトの細孔を通って脱水反応を受けるのに対して,物理混合触媒ではメタノールは拡散によってのみゼオライトの細孔に入り,脱水反応を受けるため,一部のメダノールしか脱水反応を受けないため,カプセル触媒の方がDMEの選択率が高くなると考えられた。 以上,本研究により合成ガスから直接DMEを合成するカプセル触媒の合成に成功した。
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