研究課題/領域番号 |
20038010
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
斎藤 雅一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80291293)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2008年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ジリチオプルンボール / 芳香族性 / チオフェン縮環リチオスタンノール / ヘテロロトリフェニレン / ヘテラスマネン / トリリチオスタンナン / ジスタンニン / m-テルフェニル型置換基 / トリス(トリメチルスタンニル)スタンナン / トリス(トリメチルシリル)スタンナン / リチオ[ビス(トリメチルスタンニル)]スタンナン / リチオ[ビス(トリメチルシリル)]スタンナン |
研究概要 |
化学において重要な概念である芳香族性がどのような場合に発現するかは完全に見極められていない。今回、スズよりもさらに高周期の元素である鉛に着目してジリチオプルンボールを合成し、実験及び実在系の理論計算を併せ用い、これが鉛を炭素π電子系骨格に有する初めての芳香族化合物であることを明らかにした。炭素と鉛の組み合わせでベンゼンと同様な芳香族系を構築できることを示したこの成果は、芳香族性の概念が第6周期の元素の系にまで拡張され得ることを示した基礎化学的に重要な、従来の常識を覆す革新的な成果であり、当該論文がScience誌に掲載された。 チオフェン縮環がジリチオスタンノールの芳香族性にどのような影響を及ぼすのかについて興味を持ち、いくつかのチオフェン縮環スタンノールを合成し、その還元反応を検討したところ、チオフェン縮環リチオスタンノールの合成に初めて成功し、理論計算を併せ用いてその特異な分子構造を明らかにした。 また、物性化学の観点から興味深い9-ヘテラフルオレンに着目し、これを分子内に複数個有するいくつかの新規なヘテロロトリフェニレン、さらにはヘテラスマネンの合成に成功し、その特異な構造や物性を明らかにした。さらに実在系の理論計算を行い、それらの物性がどのような電子状態に起因するのかを明らかにした。 さらに、トリリチオスタンナンとトリクロロスタンナンの反応により、スズ-スズ三重結合を有するジスタンニンの合成に成功し、トリリチオスタンナンが三重結合化合物の合成のためのよい前駆体となることを示した。これは高周期14族元素を含む三重結合化合物の合成のための革新的な方法である。
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