研究課題/領域番号 |
20038012
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 (2009) 東京大学 (2008) |
研究代表者 |
常田 貴夫 独立行政法人理化学研究所, 次世代分子理論特別研究ユニット, 副ユニットリーダー (20312994)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2008年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 時間依存密度汎関数法 / 多配置密度汎関数法 / 大規模分子の光化学反応 / 解離ポテンシャル / 内殻電子励起 / 長距離補正(LC)法 / 固体電子のnearsightedness / 固体バンド計算法 / 共鳴電子状態 / 電子相関の二重計算 / 解離ポテンシャル曲線 / 電子状態間相互作用 / 電子状態間交差 / 光化学反応 |
研究概要 |
本研究は、時間依存密度汎関数法(TDDFT)に多配置波動関数を取り込むことにより、これまでのTDDFTでは再現できない電子励起状態ポテンシャル曲面の交差付近の再現を可能にし、大規模分子の光化学反応のon the flyシミュレーションを可能にすることを目的とした。その結果、第二歩として、多配置DFTを開発し、多配置TDDFTの定式を与えることができた。多配置DFTの開発において問題になるのが、電子相関のダブルカウンティングの問題である。本研究では特定の電子励起配置のみ取り込むことにより、初めてこの問題を回避した多配置DFTを開発することに成功した。本年度は、この多配置DFTを双極子モーメント計算に適用し、単配置DFTからの改善を確認した。しかし、この多配置DFTで電子基底状態のポテンシャル曲面を計算したところ、解離極限を著しく過大評価するという問題が見出された。この問題を解決するため、2電子占有軌道の全ての組み合わせを考慮した多配置DFT計算プログラムを開発し、ポテンシャル計算を行なったが、問題の解決には至らなかった。原因はSCFプロセスの欠如にあると考えられる。現在、SCFを取り込んだ多配置DFTのプログラムを開発中である。 また、本年度は、これまでのDFTでは再現できなかった内殻電子励起の問題にも取り組んだ。その結果、「修正領域自己相互作用補正(mRSIC)法」と「擬スペクトルRSIC(PSRSIC)法」を開発し、内殻電子励起スペクトルの再現性を大きく改善することに成功した。さらに、固体の問題にも取り組み、長距離交換相互作用は固体系で効かず、これが固体電子のnearsightednessの原因であること、および長距離補正(LC)法ではバンドギャップを過大評価するという既存の固体バンド計算法の問題の原因を解明することができた。
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