研究課題/領域番号 |
20038047
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
石田 干城 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (10421950)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2008年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 理論化学 / 物理化学 / 統計力学 / 化学物理 |
研究概要 |
本研究課題において研究代表者は溶液内光励起反応過程である分子内電子移動過程の研究を行うために提案された方法論(時間依存RISM-SCF法)がその反応過程の記述に関して有効であることを示した。また、短時間領域でおこる分子内電子移動反応過程を静電ポテンシャルの時間依存解析から詳細に考察することで溶媒分子の短時間領域での運動が電子移動を引き起こす要因である事を見出した。加えて、時間依存RISM-SCF法を用いて溶質分子の電子状態に関する時間依存変化を追跡し、溶液内色素分子の光励起後の反応プロセスの分子内電子移動反応の研究を行い実験データとの比較を行った。また、分子内電子移動反応を引き起こす駆動力としての溶媒和ダイナミックスと相関した溶質の電子状態の時間変化と構造変化との関係についての考察を行った。研究結果から、特にアセトニトリル中における励起状態(S_1状態)での分子内電子移動反応について、Betaine 30を用いた場合の実験結果は本研究の計算結果と非常によい一致がみられ、分子内電子移動反応の時定数などを求める際に本研究で提案したモデルと方法論が有効であることが示された。また、特にベタイン色素の場合は分子内電子移動が構造変化とはあまり相関しない場合であることがわかり、twisted intramolecular charge transfer (TICT)プロセスとして考えられるケースとは異なることが明らかになった。これは実験データの解釈において、従来、主に用いられてきたTICTプロセスとそうではない場合とを考慮する必要があることを意味し、そのことが理論研究によって初めて明らかになった。
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