ヌルテストは自然現象を記述する物理理論の基礎(原理)を検証するという意味で非常に基本的な重要性を持っている。物理理論が前提とする原理・仮定としてはたとえば、 1)ローレンツ対称性、2)等価原理、3)物理定数の不変性などがあげられる。 さらに、近年になって宇宙を記述する理論的枠組みとしてLambdaCDMが有効であることが明らかになってきた。そこで、この前提であるダークエネルギー=宇宙定数がどこまで正しいかをテストすることはヌルテストの観点からも非常に重要である。 そこで、本研究は、JDEMなどの将来の超新星の観測計画やSUBARU/HSCやLSSTなどの弱い重力レンズのサーベイ計画を視野に入れて具体的にどの程度の精度で宇宙定数のチェック(Ωmの決定精度)ができるのかを明らかにすることを目的とする。 本年度は、宇宙定数からのずれをダークエネルギーの状態方程式でパラメトライズする際の一般的な表式を基本理論に立ち返って導出した。その状態方程式を超新星の観測データに適用し、状態方程式のパラメターヘの制限を与えた。その結果、現在の観測データは宇宙定数と矛盾しない、ということが明らかになった。さらには、新しいパラメトリゼーションはより広いダークエネルギーモデルについても適用できることを示した。
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