研究課題/領域番号 |
20042006
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 未知雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80295477)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2008年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | スピントロニクス / 磁気抵抗 / 有機磁性体 / 分子スピン / スピン流 |
研究概要 |
磁性金属元素を含まず、伝導電子と局在スピンの両方を有機分子が担う、新しいタイプの磁性-導電性物質を開発し、そのスピン依存伝導のメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。本年度は、すでに巨大磁気抵抗を示すことが見出されている(ESBN)_2ClO_4をリード化合物として、その分子構造に変調を加えた種々のドナーラジカル分子を合成し、その基礎的な物性の検討を行った。中でも臭素置換TTFドナー骨格とニトロニルニトロキシドラジカルからなるドナーラジカルであるBTBN分子においては、中性状態において、結晶中でドナー骨格が高い平面性を持ち、π共役系を重ね合わせた密な積層構造をとり、有機中性結晶としては高い伝導度(σ_<RT>=1.0×10^<-3>S cm^<-1>, E_a=0.28eV)を持つ事を明らかにした。また、導電性が極度に減少する極低温領域において、間隔2μmの櫛型電極を適用して磁気抵抗測定を試みたところ、I∝V^<15>に及ぶ高次の非線形的導電特性とともに、-70%前後に及ぶ巨大磁気抵抗が観察された。さらに、ゲート電極からの電圧印加による静電的電荷注入を試みたところ、両極性型のFET特性が見出されるとともに、磁気抵抗比がゲート電圧によって変化する挙動が見られた(2K、5Tの印加時に、V_G=-40V、0V、及び、+50V時において、それぞれ-62%、-66%、及び、-70%)。このような電荷注入による導電性の制御が容易であるのは有機物質の利点の一つであり、有機物質ならではの機能性を備えた磁気抵抗素子の開発に繋がる可能性がある。
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