研究概要 |
高強度レーザーパルスを固/液体表面に照射するとパルスX線発生することが知られているが、X線強度/スペクトルは試料表面の形状に大きく影響される。本研究では、様々な空間スケールの表面構造を有する固体試料を対象に、フェムト秒レーザー誘起パルスX線発生実験を行い、表面構造がX線発生機構に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 X線発生実験を新たに始めるにあたり放射線管理/安全マニュアルを作成するとともに、放射線遮蔽のための実験箱(W60xD30xH37cm^3)を作成した。この中に試料ホルダー、光学系、X線強度/スペクトル測定のためのガイガーカウンターならびに半導体検出器を配置し、実験を行った。励起レーザー(50 fs, 800nm, 0.7mJ/pulse, 3kHz)は山内研究室(東大院理)所有のものを使用し、試料として真鍮板を用いた。 表面が平滑な試料の場合でもX線発光は観測されるが、一旦レーザーを照射しアブレーションによって荒れた表面にさらにレーザーを照射した場合、桁違いに高いX線発光強度が得られた。これにより、従来報告されていた160 fs程度よりも更に短い励起パルス幅を用いた場合でも、表面構造を有する試料においてX線強度の増強が得られることが明らかとなった。 今後は試料表面構造の空間スケール並びに周期などが、励起レーザーの各種パラメーターとともにどのようにX線発生機構に関与しているのかを詳細に議論したい。
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