研究課題/領域番号 |
20043013
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 敏行 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (10210923)
|
研究分担者 |
戸谷 健朗 東京農工大学, 大学院・工学府, 技術職員 (50397014)
|
研究期間 (年度) |
2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2008年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 常温りん光 / 三重項励起状態 / 二光子吸収断面積 |
研究概要 |
大きな二光子吸収断面積を有し、かつ長い励起状態を達成するための材料設計指針は未だ確立されていない。我々は以下の4つの因子を抑制すると、室温でも長寿命のりん光が観察できることを初めて明らかにした。その4つの因子とは、(1) 色素の周囲のマトリックスの熱運動および色素自身の熱運動(2) 色素とマトリックス間の電子移動あるいはエネルギー移動(3) 色素の凝集により生じる濃度消光(4) 酸素によるクエンチングである。 ビニル系高分子のようなマトリックスにりん光色素を分散させると、側鎖の熱的な局所運動によって、室温ではりん光が観察されないのに対して、水素結合性の強い、室温でも低運動性のマトリックス(β-estadiol)中にりん光色素を分散させると、3重項励起状態寿命が秒オーダーまで長くなることを見出した。この室温下での励起状態寿命は従来の有機材料と比較して1000倍以上長くなった。 長寿命の室温りん光を観察するための、有機色素自体の構造としてはビフェニルやフルオラン等の芳香族炭化水素に電子供与性基を導入したものが有効であることを見出した。また、電子吸引性基、フッソ基を導入したものでは、りん光寿命は長寿命化できなかった。 これらの材料の二光子吸収断面積を測定した所、最大で450GMであることが判明した。さらにπ電子共役系の長いビススチリルベンゼン等について検討したが、項間交差効率がほぼゼロであるため、りん光は得られなかった。 室温で長寿命励起状態を有する有機材料の応用について検討した。常温での長い励起状態を始点とした光化学反応が可能であることを示唆するデータを得た。
|