研究概要 |
本研究の目的は、(1)錯体分子の特徴を生かした「新規な機能創出」と(2)ジチオナイト錯体のフォトクロミック分子としての「可能性の追求」である。具体的には、独自に発見したロジウムジチオナイト錯体[(Cp^RRh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](1^R)(Cp^R=η^5-C_5Me_4R, R=Me, Bn, Pro, Bu)が示す単結晶フォトクロミック現象の解明とその機能の評価を行った。その結果、平成20年度は次の成果を得た : (1)単結晶フォトクロミズムに連動したCp^<Me>配位子のダイナミクスを定量的に明らかにした。 (2)嵩高い置換基(Cp^<Bn>)を有するジチオナイト錯体による単結晶フォトクロミックシステムを構築し、その機能を解明した。(3)Cp^<Pro>配位子をもつジチオナイト錯体が、不斉結晶化により、キラルな結晶を与えることを見出した。得られたフォトクロミックキラル結晶を用いて絶対不斉光異性化反応が達成できた。(4)Cp^<Bu>配位子をもつジチオナイト錯体の針状結晶が、光照射により屈曲すること(光誘起結晶形状変化)を発見した。このように、ロジウムジチオナイト錯体(1^R)のR置換基を変化させることで、単結晶フォトクロミズムに誘起される様々な新機能を引き出すことに成功した。本年度得られた成果は、第21回配位化合物の光化学討論会を含めた学会、討論会で発表した(国際会議1件、国内5件)。また、得られた研究成果の一部を3報の学術論文として発表するとともに2件の総説・解説としてまとめた(次ページ参照)。
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