研究課題/領域番号 |
20045019
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
中野 智志 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質萌芽ラボ, 主幹研究員 (50343869)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2008年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ホウ素 / icosahedron / 超高圧 / ヘリウム / 準静水圧 / クラスレート |
研究概要 |
これまで、B_<12>正二十面体を配列ナノ構造単位とする最も単純な物質であるα-ホウ素について、ヘリウム圧力媒体を用いた準静水圧下での圧力応答を、高圧ラマン散乱測定により詳細に観察した。その結果、B_<12>正二十面体のlibration modeがソフト化する15GPaで、B_<12>同士の相互作用を示唆する新たな振動モードが現れることを見いだした。今年度はその解析をさらに進め、歪んだB_<12>クラスターのbreathing modeのうち2本のピーク強度の圧力依存性が、40GPaを境界に逆転することを見いだした。これは、40GPa付近で菱面体格子角αが狭くなる方向から広がる方向へと逆転するという第一原理計算の結果と調和的である。以上より、α-ホウ素について、40GPa付近で見られる電気伝導度異常などの物性変化は、菱面体格子角αの圧力変化という構造的要因によると理解された。 同じようなクラスタ一を基本構造単位とする配列ナノ空間物質として、Baイオンを内包する構造III型クラスレートであるBa_<24>Si_<100>とBa_<24>Ge_<100>がある。これらは同じ構造をとるが、電子転移や超伝導特性など物性には違いが多い。この差異の理由を明らかにし構造と物性の関係を明らかにするため、ヘリウム圧力媒体を用いて高圧粉末X線回折実験を行った。その結果、室温下4.5-5GPaでわずかに体積弾性率が変化し、Ba_<24>Ge_<100>が高圧下で「硬く」なることが分かった。これは、加圧によりクラスターの体積が減少し、4.5-5GPaでBaイオンのラットリング挙動に影響を与えるためと考えられ、その圧力以上ではBa_<24>Si_<100>と同様の物性が現れると予想される。さらに同様の実験を5GPaまでの低温高圧下で行い、電子転移や超伝導が発現する条件付近での詳細なX線回折データを得た。現在、このデータを用いて構造解析を進めている。
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