研究課題/領域番号 |
20046001
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 裕次 北大, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50280863)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2008年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | スピンフラストレーション / 三角スピンチューブ / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究では、新しい構造を持つ幾何学的フラストレーション系物質である反強磁性三角スピンチューブ([(CuCltanchH)_3Cl]Cl_2)を対象に、本物質の磁気的性質を明らかにすることを目的に、核磁気共鳴法(NMR)および極低温磁化測定を行なった。以下にその結果の主なものを記す。 1. 100mK以下の極低温領域でプロトン核のNMR測定を行なった結果、基底状態がギャップレス状態であることを明らかにした。 2. プロトン核のスピン格子緩和時間(T_1)の温度および磁場依存性の測定を行なった結果、観測されたT_1の振る舞いは通常の一次元スピン鎖の場合と大きく異なることを見出した。得られた結果を解析した結果、1K以下の極低温領域でCu^<2+>(S=1/2)のスピンモーメントの揺らぎの周波数が温度減少と伴に低下し、スピンの凍結が起こっていることを明らかにした。 3. 90mKの極低温下で磁化測定を行なった結果、量子効果に起因する3分の1プラトー現象をはじめて実験的に見い出すとともに、スピンカイラリティの自由度と磁気特性が密接に関わっている可能性を見い出した。 本研究では、スピンフラストレーションと磁気状態との関わりをより広い視野から調べるため、9つの磁性イオンでリングを構成しているCr8Ni反強磁性リングをさらに取り上げ、その磁気的性質をNMRおよび強磁場磁化測定により調べた。その結果、Cr8Niの基底状態がスピンフラストレーションに起因してS=0のシングレット状態になっていることを実験的に初めて明らかにした。
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