研究課題/領域番号 |
20046010
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中澤 康浩 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60222163)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 強相関 / 分子性固体 / フラストレーション / 熱容量 / 磁性 / 強相関電子系 |
研究概要 |
本研究は二次元の三角格子構造をもつ分子性強相関電荷移動錯体を対象に、スピンや電荷のフラストレーションの効果を熱力学的な立場から研究するために計画された。平成21度は、アクセプター分子であるPd(dmit)_2とカウンターカチオンの2:1塩であるEtMe_3SbPd_2[dmit]_2塩を中心に低温領域での熱力学的測定を行った。この物質はPd(dmit)_2のダイマーが二次元三角格子を形成する電荷移動塩である。^3He冷凍機、希釈冷凍機を用いた極低温領域での熱容量の測定を行い、低温で有限のγ値を示すことが見出された。これは、以前に、スピン液体を形成することが確認されたK-(BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3と同様の振る舞いであり、静磁化率の絶対ゼロ度への外挿値とγ値がスケールすることからも熱励起にギャップがないスピン液体状態の形成を意味している。低温領域ではメチル基の回転準位の関係したショットキー熱容量が出現するため、カチオン部のメチル基を重水素置換した塩による極低温測定を行った。その結果、ショットキー熱容量は減少し確かに低温領域でもギャップのない状態が形成されていることが判明した。 温度に比例する項が存在する温度領域よりも高い3.2K付近にC_pT^<-1>のブロードな山が存在する。熱容量の詳細な解析からこのブロードなピークはK-(BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3でみられた5.7Kの熱異常と同様な常磁性状態からスピン液体状態へのクロスオーバーを表していることが示唆される。EtMe_3SbPd_2[dmit]_2とK-(BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3でと見出された熱的性質は、有機ダイマー型Mott絶縁体三角格子のスピン液体の共通する特徴であると考えられる。重水素化した試料による熱測定から化学圧力に対する効果についての議論も行い、スピン液体状態は圧力印加に関して比較的安定であることが判明した。
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