研究課題/領域番号 |
20046014
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2008年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 幾何学的フラストレーション / 軌道自由度 / 遷移金属酸化物 |
研究概要 |
A2V13022におけるスピンシングレット三量体形成: A2V13022(A=Ba,Sr)は、Vが規則的に欠損した擬V三角格子が3層、fcc格子的に積層した構造をとる。Ti酸化物で同様の構造をとる物質は知られていたが、この物質は本研究で初めて合成されたものである。この物質の電気抵抗と帯磁率を測定した結果、Ba2V13022では290Kで、SrV13022では380Kで、それぞれ電気抵抗は上昇し、帯磁率は現象するという異常が観測されることが分かった。さらに、放射光x線粉末回折実験を行った結果、この温度以下でVが三量体を形成する構造相転移が起こることが分かった。この構造相転移において、13個のVが4つの三量体と1つの孤立Vイオンに分離する。さらに帯磁率の振る舞いとNMR測定の結果から、この三量体はスピンシングレット状態であり、孤立VイオンはS=1/2のスピンを持つことが明らかとなった。 BaV10015の三量体構造相転移とSrV10015のスピンフラストレーション: AV10015(A=Ba,Sr)は、Vが規則的に欠損した擬V三角格子が2層積層した構造をとる。この物質の単結晶を初めて作製し、BaV10015は130Kの構造相転移で電気抵抗が3桁跳ぶこと、また光学伝導度スペクトルに0.2eV程度のギャップが開くこと、37K以下では、a軸方向にスピンの向く反強磁性を見出してきた。本年は、SrV10015の測定をした結果、電気抵抗は異常がなくvariable range hoppingの振る舞いを示すこと、光学スペクトルにはギャップは開かず、温度低下とともに連続的にウェイトが減少する振る舞いを示すこと、また低温には磁気転移に対応する比熱の異常は見られないが、NMRの1/T1に長距離秩序を示唆する異常が30K付近に見られることを明らかにした。
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