研究課題/領域番号 |
20046016
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小野田 繁樹 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (70455335)
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研究分担者 |
古崎 昭 , 古崎物性理論研究室, 主任研究員 (10238678)
桃井 勉 , 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (80292499)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2008年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 磁性 / スピン液体 / スピンキラリティー / 磁気強誘電性 / 強誘電性 |
研究概要 |
局在した電子のスピンの間には、交換相互作用と呼ばれるスピンの向きを平行・反平行にそろえようとする力がはたらく。本研究では、この交換相互作用が強いフラストレートをもつ三角形構造によって構成される1次元的・2次元的物質に対し、有効模型を用いた理論解析によって、極低温での物性の理論予測・説明を行ってきた。特に、Cu^<2+>イオンの電子スピンから構成される擬1次元物質の物性を理論的に理解するため、密度行列繰り込み群法を改良した数値計算によって1次元スピン1/2模型を解析した。その結果、スピン交換相互作用が最近接で強磁性的、次近接で反強磁性的で、かっ、磁気異方性が小さい場合に、スピンそのものは準長距離秩序、ベクトル・スピン・カイラリティーは長距離秩序を示す量子相が、広範な領域で存在することを世界に先駆けて示した。このベクトル・スピン・カイラリティーの形成機構は、現実の物質において弱い3次元的相互作用が量子揺らぎに勝って、螺旋磁気秩序をもたらす主因となっていることが分かった。このことは、主として最近接スピン交換相互作用が強磁性的である銅酸化物において、磁気強誘電性が実験的に観測されていること符号する。また、現実に螺旋磁気秩序のために強誘電性を示す擬1次元物質に対して現実的な模型を導入し、その電磁応答スペクトルをスピン波理論による解析から計算した。その結果、螺旋磁気秩序形成に伴う南部ゴールドストーン=モードが、異方性・3次元性のためにエネルギーギャップをもち、それが誘電関数スペクトルにも顕著に現れることを示した。このスピン波理論により、LiCu_2O_2におけるテラヘルツ分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、中性子磁気散乱の実験結果を説明することに成功した。
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