研究概要 |
ダイアモンド・アンビル・セル(DAC)を用いた超高圧下での様々な無機物質の新物質と新結晶の創製に成功した.アモルファスBを出発物質とし,マルチアンビル装置を用いて正方晶の未知相を発見した.この新しい相のSEM-EDS結果では,極微量の酸素原子のピークが見られ,これらの結果から,極微量の酸素原子によって安定化された正方晶のボロン系新物質が合成されたと考えられる.超高圧高温合成により,3種類のZr-C系の新物質の合成に成功した.1種類は一気圧下でも準安定的に存在するが,他の2種類は高圧下でのみ安定であることがわかった.CrSi_2について,高圧その場X線回折測定の実験結果を基に,Birch-Murnaghanの状態方程式からCrSi_2の体積弾性率を求めた.超硬物質として知られるダイアモンド(体積弾性率443GPa)やSiC(体積弾性率224GPa)には及ばないものの,体積弾性率199(3)GPaが得られた.また,Cr-Si系化合物の合成実験では,単結晶試料が得られ,XRD及び組成分析の結果からCrSi_3というSiに富む新しい化合物の存在の可能性が示唆された.SiO_2, GeO_2, SnO_2についてそれぞれ15.1GPa, 5.2GPa, 5.1GPa以下の圧力範囲で融解実験を行った.GeO_2を出発物質とし,KC10_4を圧力媒体として,5.1GPa・約3,000℃以上で加熱後,常圧回収された試料のX線回折測定を行った結果,Rutile型GeO_2が常圧下で回収できたことがわかった.Rutile型GeO_2中空角柱状結晶が初めて育成されたことがわかる.また,TEM観察により単結晶であることが確認された.さらに,SiO_2, SnO_2の融解実験からも,GeO_2と同様なRutile型中空角柱状結晶が得られた.
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