研究概要 |
イメージフグプレート(IP)を用いたトリチウムβ線からの誘起X線による定量評価法の確立に同けて、富士フイルム(株)社製IP、BAS-MSを用いて以下の検討を行なった。 1.エネルギー特性の評価 IP本体の輝尽性蛍光体の組成がBaFBr_<0.85>I_<0.15>:Eu^<2+>であるため光子低エネルギー領域ではBr、Ba、IのK殻電子吸収端で高い感度を有することが予想される。トリチウム制動放射線領域(~18.6keV)におけるIPのエネギー特性KEK-PF実験施設BL-14Clビームラインでの単色光を用いて調べた。8.0,10.0,13.5,16.0,18.6keVの単色光をIPに照射し、フィルターが無い場合及び0.1,0.3,0.5mm厚のAlフィルターでIPをはさんだときのPSL(輝尽発光,Photo-Stimulated Luminescence)応答を評価した。その結果、このエネルギーの範囲でIPは強いエネルギー依存性を持ち、エネルギーが高くなるに連れて感度が増すこと、BAS-MSは9μm厚のPETからなる表面保護層をもつため、8.0keVではそのほとんどが遮へいされてきわめて低いPSL値しか得られないことがわかった。異なる厚みのAlフィルターによるPSL値を重み付けして組み合わせることでエネルギー依存性の補正を行えることを示した。 2.絶対測定のためのキャリブレーション取得 ホウケイ酸ガラス(長さ6.36mm、直径0.60mm、厚さ0.088mm)内に12.5,25,50,及び100MBqのトリチウムガスを封入した4種の線源を用いて、トリチウム量-PSL密度及び照射時間-PSL密度との間の直線的な相関関係をそれぞれ取得した。 3.β線誘起X線利用における検出限界等の評価 ホウケイ酸ガラスがターゲットであるとき、β線のエネルギーが制動放射線に変換される効率は10^<-4>程度であるが、BAS-MSは良好なフェーディング特性を有するため、照射時間を長くすることでより多いPSL値を得ることができる。しかし、同時に自然放射線の影響も大きくなる。そこで、2、の線源を用いて照射中鉛で遮へいすることにより照射時間と検出限界値との関係を調べた。その結果、鉛遮へい無しで1時間照射した場合と比べて24時間照射で検出限界は約10倍改善されることがわかった。
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