研究課題
特定領域研究
1. 共鳴ラマンスペクトルの測定に適しだチトクロムc酸化酵素再構成ベシクル(COV)の作成法を検討した。CcOとリン脂質の量比、COV調製後の濃縮の方法などが検討課題であり、最終標品の量、呼吸調節率および共鳴ラマンスペクトルの質を指標に最適な手順を決定した。再構成時に脂質吸着ビーズを添加すると、レーザー光に対する耐性が高まることがはっきりした。また、この試料に対し、プロトン濃度勾配存在下での共鳴ラマンスペクトルを測定した。2.インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)はヘム酵素であり、トリプトファン(Trp)に酸素分子由来の2原子の酸素を添加し、N-フォルミルキヌレニンを生成する反応を触媒する。哺乳類においてこの反応はTrp異化反応の主要経路にある。近年、Trpの代謝産物が免疫系や神経系などの異常に関係することが明らかになり、注目されている。IDOによる酸素添加反応は、従来、Fe-O-O-Trp型の反応中間体を経てO-O結合が切れることなく取り込まれると考えられてきた。本研究では、酸素化型および593nmに吸収帯を持つ新規スペクトル種の共鳴ラマンスペクトルを測定し、これら2つの反応中間体の配位構造を調べた。酸素化型の共鳴ラマンスペクトルより、酸素化型反応中間体がV_<Fe-O2>(鉄-酸素伸縮振動)モードを569cm^<-1>に示し、エンドオン型(Fe-O-O)であることがわかった。一方、酸素化型にTrpを加えて得られる593nmスペクトル種は<16>^O_2に対し798cm^<-1>にラマン線を与えたが、これは<18>^O_2では762cm^<-1>に、また<16>^O<18>^Oに対しては798cm^<-1>と762cm^<-1>に50%ずつの強度のラマン線を与えた。以上の結果から、このものがFe=O型ヘムを持つことが明らかになった。この結果は、従来提唱されてきた反応機構の再考をせまるものである。
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