研究課題/領域番号 |
20050032
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
大島 康裕 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (60213708)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2008年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 原子・分子物理 / 物理化学 / 分子分光学 / 強レーザー場 / フェムト秒化学 |
研究概要 |
本研究は、周波数領域ならびに実時間領域での非線形コヒーレント分光の活用によって、従来の手法を凌駕する検出感度と測定精度で分子間振動のエネルギー準位構造を明らかにし、その実験的情報に基づいて真に定量性のある分子間相互作用ポテンシャルの決定を行なうことを目指すものである。本年度の成果は下記の通りである。 周波数領域の研究としては、芳香環の関与する分子間相互作用を詳細に特定する目的で、ベンゼンを含む分子クラスターを重点的に取り上げた。その中でも最も結合の弱いベンゼン-(He)_n(n=1,2)について、2色のレーザーを利用した共鳴2光子イオン化によって電子スペクトルを測定した。単一縦モードナノ秒パルス光源を利用した高分解能の計測によって各種分光定数を高精度で決定し、詳細なクラスター構造を得た。特に、n=1については、分子間振動が励起した状態に対応する振電バンドを始めて観測することができ、ベンゼン分子面の上下をHe原子が行き来するトンネル運動に起因する分裂を見出した。 実時間領域での研究では、超音速ジェット中に生成したNO-Arクラスターを高強度の非共鳴フェムト秒パルスによって励起し、その後、ナノ秒色素レーザーを利用して共鳴2光子イオン化スペクトルを測定した。コールドバンド強度の減少と分子間振動のホットバンド強度の増大が観測され、インパルシブラマン過程によって振動状態分布移動を実現したことを確認した。さらに、2つのフェムト秒パルスで励起を行い、振動基底状態および分子間振動励起状態の分布が、パルス間の遅延時間に対して周期的に変動することを見出した。この状態分布に現れるビートの周波数成分は固有状態間のエネルギー差に直接対応している。本時間領域の分光によって、これまで観測されていなかった分子間振動準位を新たに検出することができた。
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