研究課題/領域番号 |
20051015
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 高史 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20222226)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2009年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2008年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 蛋白質 / 酵素 / ヘムタンパク質 / ヘム |
研究概要 |
ヘムタンパク質は、補欠分子であるヘム(鉄ポルフィリン錯体)がタンパク質マトリクスと結合し、様々な機能を発現している生体分子である。このヘムは2本のプロピオン酸側鎖を有し、プロピオン酸側鎖はタンパク質のアミノ酸側鎖と水素結合ネットワークを形成している。今回、ヘムタンパク質の1つであるチトクロムP450camに着目し、そのプロピオン酸側鎖の酵素活性に対する役割の解明を行った。特に、片方のプロピオン酸(7位)と相互作用しているアミノ酸(Asp297)に着目し、変異体D297Lの挙動を検討した。この変異体は、活性が非常に低下し、resting state(休止状態)で存在する基質結合部位の水クラスターが、酵素外部に排出される過程が極めて遅いことを実験及び計算結果から明らかにした。したがって、Asp297は酵素内に存在する水排出は、このプロピオン酸-Asp297のネットワークが深く関与していることを主張するに至った。これまで、チトクロムP450camのカンファー水酸化の触媒反応において、最初のステップである水の排出機構については、殆ど言及されていなかったため、今回の研究成果は今後の酵素中での水の動的役割において、新たな知見を与えるものと期待される。さらに、チトクロムP450camだけでなく、代表的なヘムタンパク質であるHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)についても、ヘムプロピオン酸側鎖の役割解明に着手した。こちらは、2本のプロピオン酸側鎖の片方が欠損した片足ヘムをアポ化したペルオキシダーゼに挿入した再構成タンパク質を調製し、その構造と活性の評価を行った。その結果、6位プロピオン酸は、タンパク質の中でヘムを安定化する重要な働きを示すこと、また活性の制御に役立っていることが明らかとなった。
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