研究課題/領域番号 |
20051016
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
廣田 俊 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90283457)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2009年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2008年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 生体超分子 / 酸素運搬 / ヘモシアニン / 協同効果 / 銅タンパク質 / ボーア効果 |
研究概要 |
ヒトでは酸素貯蔵と酸素運搬の役割はそれぞれミオグロビンとヘモグロビンが担っているが、節足動物や軟体動物の酸素貯蔵および運搬はヘモシアニン(Hc)が担っている。Hcはタイプ3銅含有タンパク質の一つであり、本研究で用いる節足動物のHcは類似したサブユニットが6個集まった6量体を構造ユニットとして超分子を形成する。各サブユニットは一対の二原子銅からなる活性部位を1つ有し、各々の活性部位に酸素1分子が結合する。Hcはヘモグロビンと同様、酸素分子脱着において協同効果を示すことが良く知られているが、pHによる酸素結合能の違い(ボーア効果)や協同効果に影響を与える因子の分子機構に関しては依然不明な点も多い。 本研究では、Hcにおける協同効果の分子論的作用機構の理解のため、節足動物由来Hcの酸素結合挙動にpHおよび乳酸が及ぼす影響およびその作用機構の解明を行った。乳酸が及ぼす影響は、紫外可視吸収分光法、等温滴定カロリメトリー(ITC)法、フラッシュフォトリシス法を用いて調べた。乳酸添加により、酸素結合速度定数K_<obs>は単量体CaeSS2では変化しなかったが、ホモ6量体を形成するCaeSS3では大きくなった。Hcと乳酸の相互作用をITCにより調べた結果、単量体CaeSS2は乳酸と結合しなかったが、CaeSS3のホモ6量体と結合した。以上の結果および昨年度の結果より、乳酸はHc多量体と結合し四次構造変化を誘起することによりK_<obs>が増加すると推測された。 6量体構造ユニット1つから成るPanulirus interruptus Hc、6量体構造ユニットがそれぞれ2つあるいは4つ集まったCarcinus aestuarii HcとUpogebia pusilla Hcを比較したところ、酸素結合速度に対する乳酸添加の影響はUpogebia pusilla Hcで最も大きく、Panulirus interruptusで最も小さかった。
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