研究課題/領域番号 |
20051020
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 衛 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (60170784)
|
研究分担者 |
池口 満徳 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (60261955)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2009年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2008年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | 核内輸送受容体 / 転写因子 / X線結晶構造解析 / 核膜孔 / 分子動力学シミュレーション / タンパク質の揺らぎ / タンパク質のダイナミクス / X線小角散乱 / シミュレーション / 分子動力学 / 核内輸送 |
研究概要 |
これまでわれわれは核内輸送受容体トランスポーチン(TRN1)とhnRNP D、JKTBPおよびTAPとの複合体の結晶構造を3.5A分解能で明らかにした。今年度はTRN1と転写因子c-fos,c-junおよびRevとの複合体のX線結晶構造解析を行った。c-fosのTRN1結合部位は以前知られているような核内輸送シグナルは存在しないが、c-junおよびREVのTRN1結合部位にはクラシカルな核内輸送シグナルが存在する。これまで知られているTRN1とリガンドとの結合とは違うメカニズムで複合体を形成していることが予想される。TRN1は前回同様全長890残基を用いた。リガンドには化学合成したペプチドを用いた。実験の結果、TRN1とc-fosおよびTRN1とREVの複合体で200から400μmの単結晶が得られ、PF-ARでX線回折実験を行ったところ、5.6A分解能の回折データを得ることができた。しかし、得られた回折データは低分解能で分子置換法による構造解析はできなかった。TRN1は柔軟な分子である高い分解能が得ることが難しかったと思われ、TRN1分子の不安定なループを削除するなどの工夫が必要と思われる。 次に、TRN1の全原子分子動力学シミュレーションを行った。まず、分子動力学シミュレーションに用いたTRN1の初期構造を構築した。結晶構造では機能に重要なH8ループの電子密度が柔軟性のため観察されていなかったので、H8ループのモデリングを行い、さらに周囲に水を配置して分子動力学シミュレーションを行った。その結果、H8ループの初期構造は伸長した状態であったが、分子動力学シミュレーションの結果、コンパクトな構造に遷移した。しかし、シミュレーション中にある特定の構造に安定化したわけではなく、運動性の高い状態であった。また、TRN1の全体構造においても、通常の球状タンパク質と比べて柔軟性が高いことがわかった。TRN1はヘリックス-ターンヘリックスモチーフが繰り返されるHEATリピート構造を持つが、それぞれのモチーフの運動が一様でなく、運動性に個性が存在することが明らかになった。
|