研究課題
特定領域研究
本研究の目的は、NF-E2の巨核球系細胞における転写制御機構の解明を通して、生体における本質的な機能に根ざした転写因子複合体の構成と機能を理解することと、転写活性化に必要な核内の場の実体を解明することである。巨核球系培養細胞MEG01に、FLAG-His-HA-トリプルタグを連結したp45の発現ベクターを導入し、安定遺伝子導入株を樹立した。この細胞から、抗FLAG抗体、抗HA抗体、Ni-NTAを用いて、p45を含む核内複合体のアフィニティー精製を行った。質量分析により、複合体構成因子を調べたところ、クロマチンリモデリング因子、基本転写因子とメディエーター因子群などが含まれる事がわかった。また、RNA代謝に関連した因子、転写伸長因子も含まれている事がわかった。さらに、細胞質内輸送に関わる因子も得られており、p45が細胞質にもかなり存在することを考慮すると、これらも何らかの機能的意義を持つ可能性がある。申請者らは、遺伝子破壊マウスとトランスジェニックマウスを組み合わせたin vivoでのp45、あるいは、MafGの機能評価系を確立している。そこで、このシステムを利用して、アミノ末端領域38アミノ酸を欠失したp45Δ1-38を発現するトランスジェニックマウスを作成した。このマウスはp45欠損マウスを部分的にレスキューすることを明らかにした。さらに、MafG C末端領域を欠失するMafGは、p45をDNA上にリクルートできるも、標的遺伝子の活性化にはいたらないことを明らかにした。特に、ヒストンのアセチル化が障害されていることがわかった。
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