研究課題
特定領域研究
ユビキチン・プロテアソーム系と並ぶ細胞内タンパク質分解系であるオートファジーは、飢餓時の栄養源確保等の代謝機能を担うものとして秩序維持との関連は議論されてこなかった。しかし、ここ数年の急速な研究進展によりオートファジーの予想外の新機能が次々と明らかとなっており、例えば我々はオートファジーが細胞内に侵入した病原性細菌や肝変性疾患の原因となる異常タンパク質を選択的に効率よく分解することを見いだしている。他グループの報告と併せ、オートファジーが代謝に留まらず秩序維持にも積極的に関与していることが判明した。本研究では、この新たに登場した第2の不良品タンパク質除去機構の実態と分子機構の解明を目指す。本年度は、神経変性の原因となる長いポリグルタミン鎖含有タンパク質(PolyQ)発現による細胞死誘導に対しオートファジーが抑制的に働きうるか、既に報告したオートファジー不能のAtg5-KO細胞と野生型細胞にPolyQを発現させ細胞死の程度を比較した。その結果、Atg5-KO細胞では野生型より顕著に細胞死が亢進したので、オートファジーがpolyQの細胞毒性を抑える働きを持つと結論した。またオートファゴソームがPolyQの大きな凝集塊を包み込み分解するという説について蛍光顕微鏡-電子顕微鏡相関観察で検討し、オートファゴソームマーカーのLC3が凝集塊に存在しても膜構造は無いことを示した。すなわち、オートファゴソームが大きな凝集塊を包み込む可能性は低いと思われる。さらに、小胞体内部に蓄積し肝変性を引き起こすα1-アンチトリプシンZ変異体(ATZ)をオートファゴソームが取り込む際に、小胞体の膜ごと包み込むか、いったん細胞質に引き出してから隔離するのか検討するため、小胞体膜タンパク質などの共局在解析を行ったが結論には至らなかった。そこで方針を変更し、遺伝学的解析を行うためにATZを出芽酵母に発現させる実験系の構築に取り組んでいる。
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