研究課題
特定領域研究
抗体遺伝子のクラススイッチ組換えと体細胞突然変異が自己免疫素因に与える影響を解析する目的で、両者に必須の遺伝子であるAIDの欠損マウスをPD-1欠損マウスと交配したところ、予想に反して自己免疫症状の大幅な悪化を認めた。しかし、その後の解析から、自己免疫症状の悪化はAID欠損そのものめ影響ではなく、AID遺伝子座近傍に存在する別の遺伝子に導入された2bpの欠失変異によることが明らかとなった。我々はこの遺伝子をAIDA(AID-associated autoimmune suppressor)と命名し、変異型遺伝子をAIDAmと記載することにした。AlpAはI型膜蛋白質をコードするが、2bpの欠失によりフレームシフトがおこり、細胞外領域の途中に終始コドンが入ると予測されている。平成20年度は、AIDA欠損(AlpA-/-)マウスとAIDAm/mマウスを比較することにより、AID欠損マウスに見られた自己免疫疾患増悪の原因が、AIDAの機能不全であることを検証した。BALB/c系統とNOD系統のAIDAm/mマウスしか有していなかったため、C57BL/6-AIDA-/-マウスをBALB/c系統に3世代にわたって戻し交配し、BALB/c-AIDA-/-PD-1-/-マウスを作製したところ、BALB/c-AIDA-/-PD-1-/-マウスはBALB/c-AIDAm/mPD-1-/-マウス同様、激しい心筋炎を発症して早期に死亡した。この結果は、AID欠損マウスに見られた自己免疫疾患増悪の原因が、AIDA変異であることを強く指示する結果であった。また、NOD系統に6世代にわたって戻し交配し、NOD-AIDA-/-マウスを作製した。現在、I型糖尿病の発症を観察中である。近年、自己免疫応答を積極的に抑制する抑制性T細胞が存在することが明らかとなり、精力的に解析されている。そこで、AIDAが自己免疫応答を抑制するメカニズムを解明する目的で、BALB/c-AID-/-AIDAm/mマウスより抑制性T細胞が多く含まれると言われているCD4陽性CD25陽性細胞を精製し、抑制能を検討した。これまでの解析では、抑制性T細胞の数、機能ともにAIDAm/mマウスで大きな不全は認められなかった。
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Gastroenterology 135
ページ: 1333-43