研究概要 |
ITAM受容体-CARD9シグナル経路の自己免疫疾患の発症および病態における役割を解明するため、CARD9欠損(CARD9-/-)マウスを用いて,コラーゲン誘導関節炎,実験的自己免疫性脳脊髄炎、DSS誘導大腸炎、接触性皮膚炎の誘導試験を行った結果,CARD9-/-マウスではこれら全ての自己免疫病の発症率や症状が著しく減少することを見いだした。コラーゲン誘導関節炎,実験的自己免疫性脳脊髄炎に関しては、疾患誘導の際に用いるCFAに含まれる結核菌菌体に対する自然免疫応答の低下が原因と考えられた。DSS誘導大腸炎に関しては、抗生剤複合投与により腸内を除菌処理したマウスにおいてもCARD9欠損により症状が軽減することから、腸内細菌由来の成分に依存しない免疫活性化および腸炎誘発経路にCARD9が関与することが考えられた。接触性皮膚炎(TNBS-CHS)においては、TNBS特異的なTh1細胞がCARD9-/-マウスでは殆ど誘導されなかったことから、CARD9経路がTNBSによる感作段階で重要な役割を演じていることが予想された。この不全は、Balb/cおよびC57BL/6どちらの背景のCARD9-/-マウスでも観察され、さらにTh2が病態形成に重要とされているFITC-CHSにおいても観察されたことから、皮膚刺激物質による免疫系の感作機構に共通した未知の経路にCARD9を介した経路が関わっている可能性が示唆された。
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