研究課題
特定領域研究
本研究は、免疫不全患者に対し、人工胸腺を構築することによりT細胞の再生を促進するという治療戦略の基盤となる技術の開発を目的とする。人工胸腺のもとになる細胞としてES細胞を用いる。20年度は、胸腺上皮細胞が誘導されるとGFP陽性になるES細胞(Foxn1-Cre-Lox-GFP-ES細胞)を用いて、内胚葉系細胞の誘導を誘導した上でWnt、 BMP4などを添加して分化誘導をかけてみたが、GFP陽性細胞の誘導にはいたらなかった。そこで21年度は、Foxn1プロモーター下に直接GFPを発現するES細胞を作製した。このES細胞はThomas Boehm(Max-Planck Institute of Immunobiology、ドイツ)より入手したFoxn1-GFPマウスから樹立したものである。この細胞を主に用いてさらなる条件検討を加えることを試みた。前年度と同じくWnt、 BMP4などを添加した他、retinoic acidなども球したが、残念ながらGFP陽性細胞の誘導にはいたらなかった。しかし、平行して行った胸腺上皮細胞の分化増殖シグナルを検索する研究においては、大変重要な知見がえられた。この研究では、Foxn1-Creを用いて胸腺上皮特異的にstat3を欠損させたマウスを作成した。すなわち、Foxn1-Creとstat3-flox/floxマウスをかけあわせた。Foxn1-Cre:stat3-flox/floxマウスでは出生後の胸腺において胸腺皮質は正常であったが胸腺髄質が著明な低形成を呈することを見いだした。一方、新生児期のマウスの髄質は正常に形成されていた。これは、stat3を介するシグナル経路が出生後の胸腺髄質の発達に必要であることを示している。この知見は胸腺上皮細胞の分化誘導系の開発において重要な情報である。
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