本研究では、DNAの二重ラセン構造に着目し、相補性の二重鎖からなる人工二重ラセン高分子や超分子を創製するための一般性の高い新たな概念・手法を確立し、相補性二重ラセン構造を基盤とする革新的物質創製と二重ラセンに由来する新規物性・機能の開拓を目的に研究に着手した。 カルボン酸とアミジン塩基は塩橋を形成し、相補的に会合することが知られている。今回、カルボン酸とキラルな新規アミジン塩基を有するm-ターフェニル類縁体モノマーの設計と合成を行い、これらのカルボン酸とアミジンが、塩橋を介して相補的二重ラセンを形成するかどうかについてCDやNMRなどにより解析し、これらがモノマーレベルで二重ラセンを形成することを確認した。今後、これらの二重ラセンモノマー末端のアセチレン残基の薗頭反応による重合、もしくは金属の配位によるモノマーユニットの連結による二重ラセン高分子が合成できると期待される。
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