配分額 *注記 |
49,400千円 (直接経費: 38,000千円、間接経費: 11,400千円)
2010年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2009年度: 18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2008年度: 20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
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研究概要 |
フェムト秒パルスレーザー(以下,fsレーザー)は,その非常に高いエネルギー密度により種々の興味深い現象を引き起こす.fsパルスの物質への作用は,熱的効果ではなく,多光子吸収によるものである.本研究においては,このfsパルスを超純水に集光・照射することにより,ナノ秒パルスレーザーの照射により発生するレーザーキャビテーションとは全く異なる現象が発生することを見出した.小型石英容器内の超純水にパルス幅50fs~150fs,繰り返し周波数1kHz,パルスエネルギー0.2-1.4μJのfsレーザーを集光・照射し,数フェムト秒からナノ秒オーダーでの時間分解計測(ポンプ・プローブ法)により,fsレーザーと超純水との相互作用を明らかにした.fsレーザー照射の初期段階における水の屈折率変化(多光子吸収による)のプロセス,多光子吸収の後に発生する水のプラズマ化,さらにプラズマが消失した後に生じる気泡核生成,その後の気泡成長を数フェムト秒からナノ秒の時間分解能により明らかにした.加えて,ミリ秒オーダーでその気泡の特異な運動を明らかにした.また,fsレーザーの水分子への多光子吸収が発生して,水分子が水素分子と酸素分子に分解されることを発見し,新たな水素製造方法を見出すことができた. この知見に基づいて,個体透明物質(石英光ファイバー)とfsレーザーとの相互作用を明らかにするとともに,石英光ファイバーに高精度のマイクロ加工を施して,これまでにない新たな光ファイバープローブを創製した.本プローブを用いて,微小高速で飛翔する液滴や気泡を計測し,その優れた計測特性を実証した(英国物理学会より最優秀論文賞を受賞,2010年).
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