配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2011年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2010年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2009年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2008年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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研究概要 |
マウスに4-メチルウンベリフェロン(MU)を経口投与すると,アンチエイジング物質である高分子多糖のヒアルロン酸(HA)の合成が特異的に抑制され, HAノックダウンマウスを作製することができる。本マウスの皮膚には皺及び乾燥の老化症状を認め,老化モデルマウスである。本研究ではHAノックダウンマウスの病態形成の分子機構を解析した。最初にHAノックダウンマウスの臓器のHA含量を解析した。その結果,皮膚のHA含量は著明に減少していた。またHAの減少による角層水分含量の低下も著明であった。しかも脳を除く他の臓器のHA含量も同様に減少していた。次に皮膚におけるHA合成酵素(HAS1~3), HA分解酵素(Hyal1~4)及びHAレセプター(CD44, RHAMM)の発現変動を解析した。その結果, HAノックダウンマウスの表皮及び真皮におけるHAS-2,表皮におけるRHAMMの各遺伝子の転写は何れも抑制していた。その際, HAS-2では転写因子のde novoな合成を必要とせず,既存の転写因子のリン酸化の関与が考えられた。RHAMM遺伝子の転写の抑制には, de novoの転写因子の合成が必要であった。またHAノックダウンマウスの皮膚に発現する遺伝子の網羅的解析を行った結果,発現が有意に変動するもの61種を見出した。特にtoll-like receptor 3の減少は著しく,炎症誘発による皺形成への関与の可能性を考えた。チロシン脱リン酸化酵素,サイクリンY, Rho等の癌遺伝子も著明に減少していた。すでに我々は腫瘍細胞の増殖と転移がMUにより抑制することを報告しており,各癌遺伝子の発現減少はその病態に関わると考えた。一方,ストロメライシン3は著明に亢進し,細胞外マトリックスの分解を促進し,皺形成を促進すると考えた。最後に,各種分子量のHA及び網羅的解析で見出した老化関連遺伝子を生体皮膚に投与し,本マウスの皮膚の老化の治療を行った。経口摂取,外用及び皮内注入した結果,高分子HAを皮内に注入した場合のみアンチエイジング効果を認め,内服や外用効果は全く老化症状の軽減は認められなかった。老化関連遺伝子(V型及びVII型コラーゲン, RHAMM, toll-like receptor 3,サイクリンY, Sir7等)のタンパクの生体皮膚への導入もアンチエイジング効果を全く示さず,単独での導入は治療に直結せず,幾つかの遺伝子の組み合わせによるカクテル療法が必要と考えられた。
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