配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2010年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2009年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2008年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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研究概要 |
異なる3種類の電極系リアクタを用いてオゾン急激減少のメカニズム解明に関する基礎的な研究を行った。[I]針対平板電極系リアクタおよび[II]回転電極同軸円筒型リアクタを用いてオゾンゼロ現象が発現する過程を詳細に計測し,いずれの場合にも長時間運転後にオゾンゼロ現象が発現することを確認し,微量の窒素ガス添加がオゾンゼロ現象を回復することも確認した。これらの一連の実験結果よりオゾンゼロ現象に対しては電極表面での反応の重要性が明らかとなった。[III]ニッケル,チタンおよびアンチモンの3種類の電極系オゾン発生器を用いて長時間運転時におけるオゾン発生特性について調べた。この発生器の構造は,エキスパンドメタル電極の両側を誘電体(セラミックス)装着電極によりサンドイッチ状に挟んだものである。この実験では,エキスパンドメタル電極材料の違いによるオゾン生成特性を調べた。オゾン発生器の発生能力は投入電力100Wで100g/hである。オゾン生成原料ガスは純度99.5%酸素ガスを用いた。[I-a]酸素雰囲気中で水分吸着層を持たないニッケル電極を用いオゾン発生を継続し,電極表面の水分ならびに窒素密度が減少してオゾン濃度が低下した後,短時間(5-60秒)水分をオゾン発生器に供給したところオゾン濃度が向上するのを確認した。また,[I-b]短時間(5-60秒)酸素ガスを窒素ガスに切り替え供給し,オゾン濃度が向上するのを確認した。[I-a]の場合と同様に,窒素ガス添加後のオゾン濃度の増加と増加後に減少していく時定数を測定した。その結果,時定数の値として12(窒素添加時間5秒)から25分(添加60秒)に増加し,容易にオゾン濃度を高められオゾン生成効率が向上することが明らかとなった。[I-c]ニッケル,チタンおよびアンチモンをエキスパンドメタル電極用材料として用いた場合のエンタルピーの変化分およびオゾン濃度減少の時定数について調べた。数か月の観察データをもとにファント・ホッフの式を用いてエンタルピーの変化分ΔHの計算を行った。その結果,ニッケル電極の場合はΔH=11~32[kJ/mol]であったのに対して,チタン電極の場合では7~13[kJ/mol],アンチモン電極の場合では4~6.5 [kJ/mol]と狭い範囲の値が得られた。このことからチタン電極やアンチモン電極の場合は,電極表面の状態がほとんど変化せず,ニッケル電極の場合には電極表面の状態が大きく変化していることが推察できる。
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