研究課題/領域番号 |
20380158
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
石井 利明 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50264809)
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研究分担者 |
古林 与志安 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20301971)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2010年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2009年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2008年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | 離乳 / 自給本能 / カンナビノイド受容体 / 記憶 / 学習 / 固執 / 海馬歯状回 / Me5 |
研究概要 |
マウスの自給本能発現には三叉神経中脳路核(Me5)が離乳のシグナルを受容することが必要であり、また、成熟型の探索行動の獲得とその維持にもMe5が機能している。Me5破壊マウスや離乳を遅延させたミルク食マウス(ミルクマウス)は、海馬歯状回(DG)におけるカンナビノイド受容体(CB1)の発現量が増加し、DGでの神経幹細胞新生率の顕著な増加と、新生した幹細胞の多くが神経細胞に分化することが分かった。CB1作動薬であるanandamideを投与したマウスは、Me5破壊やミルクマウスと同様、DGの神経細胞新生率が増加することで、以前に学習した古い情報に固執し、新たな空間情報を学習・獲得する能力が低下した。また、Me5破壊で生じた固執行動はCB1受容体の特異的阻害薬であるAVE1625により完全に消失した。これらの結果から、DGのCB1活性化は、DGの神経細胞新生率を増加させ、固執を誘導することが分かった。海馬は学習により得られた情報を一時的に保存し、暫くはその情報を想起して利用することが可能である。そこで、ミルクマウスや自然離乳前後のマウスを用いて、急性海馬スライス標本を作製し、記憶の形成に関与する長期増幅(LTP)と記憶の消去に関与する長期抑制(LTD)の誘導を海馬CA1領域で調べた。その結果、離乳前マウスやミルクマウスはLTDを誘導できないが、自然離乳後のマウスではLTDが誘導した。一方、LTPはすべての群において誘導した。次に、ミルクマウスのDGで新生した神経細胞の種類を調べた結果、GABA合成酵素であるGAD陽性率が対照群と比べて有意に高かった。このことから、ミルクマウスは、CB1の刺激によりDGからCA3に投射するmossy fiberにふくまれる抑制性のGABA神経が増加し、CA3-schaffer側枝-CA1間における神経伝導・伝達やシナプスの興奮性に何らかの変化が生じた可能性が示唆された。そのため、離乳前マウスやミルクマウスではLTDが誘導出来ず、海馬の古い空間情報を消去する機能が低下したと考えられる。その結果、古い情報に対する固執が高まり、新たな情報を獲得・保存する海馬の機能に障害が生じた可能性が考えられる。
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