配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2010年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2009年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2008年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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研究概要 |
2型糖尿病と最も相関のある一塩基多型が認められた遺伝子の一つとしてCdkal1が同定されたが、その生理機能が全く不明の分子である。本研究では,Cdkal1の生理機能を明らかにし,また2型糖尿病発症分子機構を明らかにした。Cdkal1は,リジンに対応するtRNAの37番目アデニンをチオメチル化する酵素であることを突き止めた。Cdkal1の膵β細胞特異的欠損マウスでは,耐糖能ならびにブドウ糖応答性インスリン分泌がコントロールマウスと比較し低下していた。また,同マウスでは成熟インスリン量が低下していた。さらに同遺伝子欠損マウスに高脂肪食負荷を与えると,小胞体ストレスが上昇し,耐糖能のさらなる悪化,インスリン分泌低下が認められ,2型糖尿病を呈するようになった。本研究により,2型糖尿病の発症にtRNA修飾異常が関与していることが明らかになり,tRNA修飾酵素などを標的とした新たな糖尿病治療薬の開発が期待できることが示唆された。近年、DNA結合蛋白質NFκBやHMGAと発がん、がんの浸潤との関連が指摘されている。本研究ではDNA結合蛋白質NFκBとHMGAを機軸とし、酸素活性化剤や架橋剤の連結によりDNAを酸化切断・架橋する人工分子の創製を行うことを目的とした。 はじめに、ジメチルアミノピリジンとヒスチジンからなる新規人工配位子を合成した。本配位子の2価鉄錯体は活性酸素ラジカルを産生し、DNA を切断した。 この人工配位子をもとに、SH基をもつ任意の蛋白質とin situで結合し特異的DNA 切断能力を持つように誘導体化することを検討した。ジメチルアミノピリジンの2位および6位にホルミル基を導入し、ここにヒスチジンメチルエステルおよびリンカーをもつヒスチジンを順次連結することにより、目的とする化合物の合成を完了することができた。 本化合物が得られたことにより転写因子NFκBや構造的クロマチン因子HMGA などの蛋白質の認識するDNA を切断するための基礎を得ることができた。
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