研究課題
基盤研究(B)
心血管疾患等の生活習慣病では、遺伝的要素以上に環境要因が病態発症に寄与する。すなわち、ゲノム遺伝子の配列への変化がないまま遺伝子の機能あるいは細胞形質への変化がみられるエピジェネティクス制御が病態の発症と深く関与すると考えられるが、心血管領域ではエピジェネティクス制御の分子解析はまだ十分に進んでいない。我々は、クロマチン構造変換が真核生物における転写活性化の機構論の解明の糸口になると考え、いち早く注目し、DNA結合蛋白とクロマチン構造変換因子の相互作用及びその機能的な意義を明らかにしてきた。本研究では、心血管系のエピジェネティクス制御の観点から、心血管疾患におけるクロマチン転写制御、さらにDNA修復の制御機構を明らかにし、創薬の糸口にしたい。心血管疾患のエピゲノム制御を明らかにするために、本疾患の鍵因子であるKLF5に着目し、その相互作用因子を取得した(ANP32B等)。これら相互作用因子だけでなく、DNA修復のキーファクターであるATM, H2AXにも着目し、分子細胞生物学的、遺伝子工学的手法(ノックアウトマウス作成)、病理モデル(血管老化モデル)を用いて機能解析を行った。その結果、(i)ヒストンシャペロン群による転写制御に着目し、その構造解析として、新規ヒストンシャペロン(ヒストンに直接相互作用し、ヌクレオソーム形成を行う)ANP32Bを同定し、これがKLF5下流遺伝子のプロモーター領域においてヒストン量調節を行うことが明らかになった(Munemasa et al.2008)。さらに、ANP32Bの結晶構造も解析した(Tochio et al.2010)。(ii)ATMによる新規血管老化制御機構について解析し、ATMがAkt/p53/p21経路を通じて、酸化ストレスにより誘導された内皮機能障害と早期老化において、重要な役割を担うことが明らかになった(Zhan et al.2010)。本研究を通じてヒトの病態におけるエピジェネティクス制御の分子機構が明らかになった。重要なことは、それらの機構が新しい治療法の開発につながる可能性があり、今後の研究に発展させたい。
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