研究概要 |
6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)を脳室内に投与したパーキンソン病(PD)モデルマウスを用いて実験を行った.我々はすでに丁子の成分オイゲノールもしくは生姜の成分ジンゲロンには,6-OHDAによる脳線条体内ドーパミン(DA)低下に対して予防効果があることを報告している.しかしながら,6-OHDAを投与した後にこれら香辛料成分を投与すると,DAの低下が増強され,内因性活性酸素種消去物質であるグルタチオンおよびL-アスコルビン酸の酸化型の増加が認められた.また,ジンゲロン投与により,活性酸素種消去酵素であるカタラーゼ活性の低下が認められた.これ等の結果より,PD発症後にオイゲノールやジンゲロンを摂取すると,活性酸素種の生成の増加,抗酸化酵素活性の低下が起こり,酸化的障害が亢進されることが示唆された.すなわちオイゲノールやジンゲロンはPDに対して予防効果はあるものの,発症後に摂取すると病態を悪化させる可能性のあることが示唆された.
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