研究概要 |
昨年度の研究により,空手道競技を対象として仮想空間で戦術練習を行うためのバーチャル空手システムを開発した.本システムは,仮想の練習相手(コンピュータグラフィクス)を練習者に提示し,仮想相手とのインタラクティブな空手の練習を実現するものである.このためシステムは,練習者が装着した無線加速度センサから加速度データを受信し,練習者の技を自動認識する.本年度は,練習者が自ら発見的にスキルを獲得するプロセスを支援するための映像フィードバック技術を確立し,これをシステムに追加して評価実験を完了した. 確立した映像フィードバック技術は,バーチャルスポーツシステムにおいて,練習者と仮想対象物(CG選手やCGボールなど)との3次元的なインタラクションを映像化する技術である.一般に,スクリーンに投影された映像と練習者との3次元的な位置関係は映像化できない.これに対し本技術は,練習者を撮影するビデオカメラ,および,ビデオカメラと練習者との位置関係を仮想空間で再現した仮想ビデオカメラを持つシステムにおいて,仮想対象物に対する練習者のパフォーマンスを,同時にこれら2台のカメラ(ビデオカメラ,仮想ビデオカメラ)で撮影し,ビデオカメラで撮影した練習者の映像に,仮想ビデオカメラで撮影した仮想対象物をスーパーインポーズすることで,3次元位置関係を表現可能な複合映像を生成するものである.また,ビデオカメラと仮想ビデオカメラの位置を変更することで,任意の方向からインタラクションを観察することができる.本技術により,仮想相手とのインタラクションの映像を練習者が観察し,メタ認知によるスキルへの気づきを促進することができる.システムの評価実験により,スキル習熟プロセスへの支援効果が確認できた.
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