研究課題/領域番号 |
20510027
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大出 茂 琉球大学, 理学部, 教授 (20117568)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2010年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2009年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2008年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 二酸化炭素 / 海洋酸性化 / サンゴ / 石灰化 / pH / アラゴナイト / 飽和度 / 海水 / 酸性化 |
研究概要 |
大気二酸化炭素濃度の増大に伴うサンゴの石灰化の応答に関する研究を平成18年度から継続し行った。サンゴの石灰化に対する海水のpHの影響について定量的なデータを得るため、pHを変化させた海水中でサンゴ飼育実験を行った。海水のpHを変化させると炭酸塩の化学平衡からその海水のアラゴナイト(炭酸カルシウム)に対する飽和度(Ω)を変化させることになる。クサビライシとハマサンゴ試料をpHを変えた3、4種の海水中で飼育し、石灰化速度を測定した。その結果、サンゴの石灰化速度(R)と海水のアラゴナイトに対する飽和度(Ω)の間には、R=k(Ω-1)の関係が成立することが明らかになった(k:速度定数)。したがって、これらサンゴの石灰化機構は1次反応に規定される。1800年ころの大気二酸化炭素(280ppm)と海水のアルカリ度(2.3mmol/kg)(pHの推定値は8.3)から19世紀の海水のアラゴナイトに対する飽和度は4.5とモデル計算される。Ω=4.5のときのサンゴ石灰化率(G)を100%とすると、上式は一般式として、G(%)=100(Ω-1)/(4.5-1)となる。2008年(CO_2=380ppm,pH=8.20)、2100年(CO_2=540ppm,pH=8.07)のΩ値はそれぞれ3.8および3.0と計算される。上式に各Ω値を代入すると、G値はそれぞれ80%(2008年)、57%(2100年)と計算できる。このような化学シミュレーションに照らして、サンゴ石灰化速度は産業革命以前に比べて現在は約20%減少しており、2100年には約40%以上減少する可能性がある。さらに、沖縄のサンゴ礁の石灰化速度を観測した結果、Ωの二次反応である可能性が明らかになった。したがって、サンゴ礁での石灰化に対する海洋酸性化の影響はかなり大きいことが示唆される。過去から未来への地球環境変動の予測をこの研究で試みた。
|