研究課題/領域番号 |
20530056
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田淵 浩二 九州大学, 法学研究院, 教授 (20242753)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2010年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2009年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2008年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 集中審理 / 刑事弁護 / 連日的開延 / 裁判員制度 |
研究概要 |
本研究を通じて、アメリカの刑事訴訟における「証言録取手続」(depositions)に関して次のことを明らかにした。(1)連邦法域においては、刑事訴訟規則第15条が採用する証拠保全目的の証言録取制度の背景と改正の経緯および主要な論点を解明し、同手続が、公判において証人が利用不可能である場合に、合衆国憲法修正第6条の採用する証人対面条項を保障しつつ、証言を保全するための重要な役割を果たしていることを確認できた。これに対し、日本の場合、刑事訴訟法321条1項1号前段及び2号前段において証人が公判で供述不能である場合に、被告人の証人審問権への配慮することなく作成された以前の供述調書に対し、無条件に証拠能力を付与している。このことが集中審理に対応した弁護人の準備活動を妨げるひとつの要因になっており、アメリカの連邦刑事訴訟規則15条と同様の制度の採用が必要であることが確認できた。次に、(2)州法域においては、証拠保全目的の証言録取手続に加えて、証拠開示目的の証言録取手続の利用を認めている州があることから、これらの州における証拠開示目的の証言録取手続の概要を比較検討することができた。その結果、証拠開示目的の証言録取手続は、公判における証人尋問の準備手段として非常に有効であるだけでなく、早期の証言予定内容の確認を通じて、事件の早期解決にも結び付いていることが判明した。他方、そこで作成した証言録取書を公判で証拠使用することを予定しているわけではないことから、憲法の保障する証人対面条項の制約を受けず、とりわけ、予定証人を保護する必要から、被告人の立会い等については制限を課している州もあることを確認できた。証拠開示目的の証言録取手続は国内にはない制度であるが、とりわけ被告人にとって、集中審理のもとでの証言尋問に向けた準備活動を行う上では、重要な手段となり得ることから、日本においても同様の制度の導入を検討する必要があるとの結論を得た。
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