本研究は主要先進国の中でも特に大きな財政赤字を抱える日本の財政制度について、その収入確保(=税制度の構築)の政治はどうなっているのかという点に着目しながら、政府税制調査会が税制政策決定過程において果たす役割について調査することを目的とした。このような問題意識に基づいて調査を進めた結果、(1)政府税制調査会は時勢に応じて求められた税制に関わる問題に対して、専門家としての比較的中立な立場から解決にあたろうとしたこと、(2)税制改正大綱を通じて、政府税制調査会は税制の大枠を形作ったものの、細部については自民党税調の決定に譲ったこと、(3)政府税制調査会と大蔵省は税制について基本的には同調するが、大蔵省の内部においても税制について幅広い意見が見られること、(4)特に80年代以降、経済の国際化の影響が日本の税制政策決定過程に見られることなどが理解された。
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