研究概要 |
本研究は,企業と家計の多様性に着目し,都市の内部構造の変化に関して研究を行ったものである。とりわけ,その行動の変化が不動産市場の変化に現れることに着目し,住宅価格指数の推計を一つの例として,その指数のバイアスとの関係を明らかにした。住宅価格指数の推計におけるもっとも大きな問題は,推計手法に応じてどのような違いが出てしまうのかといった問題である。この問題に答えるために,1980年代半ばから1990年代初頭にかけて発生したバブル期を含む47万件以上の住宅価格に関する個票データを収集し,様々な手法で価格指数を推計した。得られた結果を見ると,しばしば新聞などでみることができる米国のケース・シラー型の価格指数の推計方法では,とりわけ市場の反転期において大きなラグが出てしまうことが明らかになった。その他,従来型の推計方法では,指数にバイアスがもたらされることが示唆された。
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