研究概要 |
論文(5)「Strategies for Service Companies to cope with Service Characteristics」において,サービス業に特有のものとされる,無形性,生産と消費の同時性,サービス印象の損なわれやすさ,品質のバラツキ,などのサービス特性に対して,サービス業がどのような対応を取っているかを,アンケート調査票に基づくデータをもとにして明らかにした。次に,論文(4)「サービス業が提供するサービス価値とサービス価値向上戦略」において,サービス業が提供しようとしているサービス価値とは,どのようなものであるかを解明した。その際,事業所向け機能的サービス,事業所向け情報・感性的サービス,消費者向け機能的サービス,消費者向け情報・感性的サービスという4類型を考え,消費者向け機能的サービス業においては標準的なサービス価値の適切な価格での提供が重視されているのに対し,事業所向け情報的・感性的サービスにおいてはソリューション価値の提供が重視され,消費者向け情報的・感性的サービスにおいては経験価値の提供が重視されていることを見いだした。さらに,論文(1)「サービス業の業界環境特性とサービス・ケーパビリティおよび経営成果との関連」において,サービス業がめざしている経営成果には,企業経済成果,サービス品質・プロセス改善成果,サービス満足成果という3種類のものがあることを明らかにした。なお,顧客満足成果は,上述の中のサービス満足成果の一面をなすものであり,企業がめざす3つの経営成果の1つに位置づけられることを確認した。また,サービス業として,競争環境の厳しさにいかに対応するかが結果的に顧客満足を高めることにつながっているということ,他方で,サービス・ケーパビリティとしてのローコストのサービス提供システム,顧客との関係性形成能力,サービス拠点の充実度合いなどが顧客満足を高めるのに効果的であることを見いだした。
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