研究課題/領域番号 |
20540328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 裕次 北大, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50280863)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2009年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2008年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | スピンフラストレーション / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究では、反強磁性三角スピン格子がナノメートル領域で孤立する分子磁性体を対象に、その磁気的基底状態を解明し、スピンフラストレーションに伴う量子揺らぎが存在するか否かを明らかにすることを目的に核磁気共鳴(NMR)の実験を行なった。具体的には、3つのV^<4+>(S=1/2)が三角形に配置した典型的なスピンフラストレーション系と考えられているV15(K_6[V_<15>As_6O_<42>H_2O]・8H_2O)を用いてNMRの測定を行なった。プロトン核の核スピン格子緩和時間T_1の温度(T=0.03-4.2K)及び磁場(H=0.4-8T)依存性を測定した結果、S=3/2が基底状態となるH>2.8Tの磁場領域では、1/T_1は温度減少に伴い急激な減少を示しこと、及び、二重縮退したS=1/2が基底状態である低磁場(H<2.8T)では、1/T_1が極低温で温度によらずに一定の値を示すことを見出した。この結果は、二重縮退したS=1/2が基底状態にある磁場領域において、温度に依らない磁気揺らぎが存在することを示しており、スピンフラストレーションに起因する量子揺らぎが存在する可能性が見出した。 また、スピンフラストレーションと磁気的性質との関わりをより広い視野から調べる目的で、三角スピンから、さらに8つのCr^<3+>(S=3/2)イオンとNi^<2+>(S=1)イオンの9つの磁性イオンでリングを構成するスピンフラストレーション物質Cr8Niの磁気状態も強磁場磁化過程やNMRの測定を希釈冷凍機を用いて1K以下の温度領域で行なうことにより調べた。その結果、Cr8Niの基底状態がスピンフラストレーションに起因してS=0のシングレット状態になっていることを実験的に初めて明らかにした。
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