配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2010年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2009年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2008年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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研究概要 |
シリカコロイド(粒径5~78nm)のハイドロダイナミッククロマトグラフィー(HDC)による分離条件について検討した。HDCでは充填剤間の空隙を利用して分離することが多い.本研究では,シリカコロイドのサイズを考慮し,粒子径が2~5μm程度の無孔性シリカゲルを充填したカラムによるHDCを検討した。 溶離液について詳細に検討したところ,pHが7以上のリン酸緩衝溶液を用いると,サイズに基づいた溶出体積が観察されたことより,充填剤シリカの安定性も考慮し,溶離液として10mMのリン酸緩衝溶液(pH7.1)を主に用いた。また,充填剤粒子径について検討したところ,充填剤の粒子径が小さいほど分離が改善された。シリカコロイドは主にUV検出器を用い,濁度法に基づいて検出した。従って,シリカコロイドのサイズが大きいほど検出シグナルは増大した。 HDCにおけるシリカコロイドの溶出体積は,流量が減少するとわずかながら増大した。これは,流量の減少に伴いより狭い流路への拡散が促進されることが要因であると推定された。 充填カラムによるシリカコロイドのHDC分離を改善するためには,より小さな充填剤粒子を用いるか,あるいは長い分離カラムを用いる必要があるが,使用した装置の耐圧性とそのような分離カラムの調製が困難であったので,透過性の高いモノリス型キャピラリーカラムを調製し,ハイドロダイナミックキャピラリークロマトグラフィー(HDCC)によるナノ粒子の分離について検討し,高性能化を目指した。 内径50~200μmのモノリス型シリカキャピラリーカラムを調製し検討した結果,シリカコロイドについて粒子径が大きいほど溶出が早く,サイズに基づく分離を達成することができた。カラム外での試料成分の拡散を極力低減化させるため,試料注入体積は20nL以下とし,オンカラム検出を採用した。用いたモノリスシリカには,10~15nm程度のメソポアがあることが想定され,小さなナノ粒子についてはHDCモードの他にサイズ排除の効果も含まれることが予測された。また,検出器や連結部を含む流路における吸着やコロイド自身の凝集を避けるために溶離液の条件を検討した。シリカコロイドについてはリン酸緩衝溶液(pH7)が有効であることがわかった。長さ50cmのモノリスキャピラリーカラムによって25cm充填カラムとほぼ同程度の分離能を達成できることが分かった。モノリス型キャピラリーカラムは透過性が高く,カラム長を増大させることにより分離能を改善できる可能性をもっている。 さらに,金コロイド(13-61nm)についてHDC分離を適用したところ,ドデシル硫酸ナトリウムを添加することで良好なピーク形状がえられた。
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