研究概要 |
ガスタービン翼などに用いられる遮熱被膜のはく離強度評価について、熱負荷やその繰り返しによる損傷や特性変化・酸化膜の形成あるいははく離強度の評価を実験的かつ解析的に検討した結果以下の知見が得られた.なお,本研究では(a)リング試料によるそぎ落としせん断試験,(b)円筒試料による繰り返しせん断試験,(c)棒状試料による高温引張り繰り返し試験,(d)板状微小試料によるそぎ落としせん断試験,(e)ピンテスト試料によるねじり・引張り複合負荷試験など種々の強度評価法についても評価を行った.実験では熱負荷前と900℃~1100℃で60時間程度までの加熱処理を行った後での強度評価や組織変化あるいはまたはく離形態の観察を行った.解析では熱負荷による界面近傍での応力ひずみ・残留応力解析を行った. (1)加熱時間が長く加熱温度が高いほど酸化物(TGO)層の成長量は大きい.(2)熱負荷による基材の膨張,それに伴うBCの伸び変形から冷却時において界面凸部に高いはく離応力が発生する.一方,延性が低いTCにき裂が生じ,せん断応力による界面でのはく離が発生する.(3)はく離強度は加熱初期には上昇するが,長時間加熱では減少する.(4)本実験の条件では,はく離強度はTGO層厚さよりも,相互拡散による界面強度上昇およびTCの焼結による強度上昇・BCの劣化に影響を受けると考えられる.(5)き裂の発生は温度によって中間層BCから生じる場合(400℃以下)と表面層TCから生じる場合(700℃程度以上)がある.これの原因はBCの延性特性の温度による変化が要因であろう.(6)はく離の発生はTCに生じた垂直き裂によってできた島状の部分から生じる.(7)はく離は基材のクリープ伸び変形の増大あるいはTCの焼結による収縮に因ると考えられる.(8)板状微小試験片を用いる新たなそぎ落としせん断試験法の有用性を示した.(9)ねじりピンテスト法において,ピン直径と被膜厚さが強度評価結果に及ぼす影響を実験的に確認した..
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