研究概要 |
本研究では,斜め後方ステップを過ぎる流れを,レイノルズ数8000の下で,実験的かつ数値的に調べる。測定法として,単一熱線プローブと,本研究で開発・発展させたフライングワイヤ(FHW)法,および熱線レイク法を用いている。FHW法を流れのスパン方向に適用するに当たって,乱流境界層のスパン方向乱流組織構造をFHW法と熱線レイク法で測定し比較したところ,壁面近傍の微細な組織構造を検出できることが確認できた。はく離流れについて,まず,シャープな角部からのはく離を取り扱い,平均および変動速度分布を測定し,角部はく離がない場合の乱流境界層と比較した。このはく離流れ中でFHW法によるスパン方向測定を実施し,乱流組織構造の流れ方向への変化を考察した。そして,後方ステップ背後のはく離・再付着流れについて,近寄り流れの境界層厚さに対するステップ高さの比を0.5~1.5の範囲で変化させ,単一熱線プローブとFHW法によって平均・変動速度場を調べた。また,FHW測定から,ステップ背後の壁面近傍における瞬時速度分布を考察し,統計量として流れの順流率を求めた。通常の定義に倣い,流れの再付着点を順流率50%の位置に定め,ステップ高さの影響を調べたところ,本研究の範囲では顕著な差はみられなかった。
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