研究概要 |
シャノンの通信路符号化定理の周辺に存在する未解決問題に関連して,2元線形ブロック符号全体の集合族の能力を評価する指標として,信頼度関数・漸近的距離比・見逃し誤り確率のそれぞれに対して限界式が与えられている.従来の研究では,信頼度関数と漸近的距離比との関係は明らかにされていないが,見逃し誤り確率と漸近的距離比,見逃し誤り確率と信頼度関数のそれぞれについては重要な関係が明らかにされている.そこで特徴的な構造を持つ2元線形ブロック符号の重要な部分クラスの集合族に対して,信頼度関数・漸近的距離比・見逃し誤り確率のそれぞれの限界式を与え,2 元線形ブロック符号のそれらと比較しつつ,それぞれの関係を明らかにしていくことは重要な研究分野である.本研究成果は,(1)シャノンの通信路符号化定理を具体的に満足する漸近的に能率の良い符号であるJustesen符号の低符号化比率における収束点を明らかにした.(2)2値展開された一般化リードソロモン符号の見逃し誤り確率の正確な値は,その符号の2元重み分布が陽に与えられなければ計算できない.そこで,最大距離分離符号が有するハミング重み分布の特徴的な構造,すなわち,符号語を情報記号部と検査記号部とに分離し,それぞれの部分のハミング重み分布を陽に求め,その分布を用いて見逃し誤り確率の上界および下界を計算するための2 元重み母関数を与えた.(3)GF(2m)で構成されるWozencraftのランダムシフト符号とその集合族が有する2元重み分布多項式について、一般的かつ基本的な性質のいくつかを明らかにした.
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