研究課題/領域番号 |
20560409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
計測工学
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研究機関 | (財)名古屋産業科学研究所 |
研究代表者 |
毛利 佳年雄 (財)名古屋産業科学研究所, 上席研究員 (10037814)
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研究分担者 |
三田 誠一 豊田工業大学, 工学部, 教授 (50319373)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2010年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2009年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2008年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | MIセンサ / PRML信号処理 / 記録磁気情報 / 自動改札機 / アモルファス合金ワイヤ / 非接触検出 / 磁気インピーダンス効果 |
研究概要 |
従来広く普及している磁気記録読み取り方式の公共サービス自動機である自動改札機やATM,自動販売機などでは、読み取り磁気ヘッドである磁気抵抗効果素子(MR素子)の低感度のために密着接触読み取り方式が採用されており、そのためにヘッド磨耗による定期保全作業や、紙幣づまりによる故障復旧作業が必要であり、自動化技術を不完全なものにしている。そこで、本研究では研究代表者の発明である高感度マイクロ磁気センサ(MIセンサ)を用いて、これらの記録磁気情報の非接触読み出し方法を開発し、上記の問題を軽減化することを目 的とした。実験では、対象を自動改札機(ハンドラー)に絞込み、アモルファスワイヤCMOS方式の高密度実装形MIセンサを数種類設計して愛知製鋼(株)で試作し、ハンドラーの磁気センサ設置空間の制限の条件で非接触磁気情報検出実験を実施し、以下の興味深い成果を得た。 (1)エドモンソン型地下鉄磁気切符の磁気記録面から約0.3 mm離して、長さ2 mm、直径20μmのアモルファスワイヤヘッドを45 度の角度で設置した結果、100μmピッチ、128ビットの記録磁気波形が明確に検出された。エドモンソン型128ビットの記録磁気情報のアナログ波形の非接触検出は、MIセンサを用いることにより高信頼性で容易に実現される。 (2)このアナログ検出波形は、幾何学的三角波となる。200μmピッチ域、100μmピッチ域のいずれの場合でも、この三角波の勾配は同一である。すなわち、三角波の高さは、100μmピッチ域では、200μmピッチ域での高さ(振幅)の2 分の1である。 (3)したがって、MIセンサの出力段に、受動RCの簡単な微分回路を追加するだけで、100μmピッチ域、200μmピッチ域ともにほぼ同一高さの方形波波形が得られる。すなわち、ディタル信号変換なしで、高安定で正確なディジタル信号列が得られた。このため、検出感度不足に備えていたPRML信号処理技術は不要であった。 (4)240ビット記録の地下鉄定期券カードの読み取り実験では、MIセンサヘッドの機械的設定の問題で、場所的なMIセンサ出力の変動が生じたが、微分回路後段に増幅器を設置して、増幅器の飽和特性を利用して変動を補償した。 (5)MIセンサのアナログ検出波形の幾何学的三角波形のメカニズムに関して、磁気双極子モデルで解析を行ったが、MIセンサヘッドの長さに関する平均化、設置角度パラメータの設定などで三角波の発生傾向は把握できたが、幾何学的三角波の発生解析は不十分であった。新たなミニ課題として残った。 実験では、十分高感度の高密度実装形MIセンサを試作できたため、PRML信号処理技術は不要であった。 以上のように、自動改札機に絞った非接触検出に関して、所期の目的を基本的に達成できた。 この成果は、他の種類の自動機であるATMや自動販売機がMR素子を使用しているため、MIセンサによる非接触検出は基本的に実現できると考えられる。
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