研究課題/領域番号 |
20570001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝・ゲノム動態
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
井上 弘一 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (60114203)
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研究分担者 |
田中 秀逸 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90202431)
畠山 晋 埼玉大学, 科学分析支援センター, 講師 (00396665)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2010年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2009年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2008年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / 短寿命 / 変異原感受性 / アカパンカビ |
研究概要 |
アカパンカビmus-10変異株はDNAのアルキル化剤であるMMSに対する高感受性株として単離された。変異原に高感受性を示すことからmus-10はDNA修復に関わることが予想されたが、その詳細は明らかではない。解析を進める中でこの株は数回の植継ぎで成長を停止し、それに伴ってミトコンドリアDNAに欠失が生じることが分かった。また、ミトコンドリア形態は野生株が管状であるのに対しmus-10変異株では粒状であった。原因遺伝子はF-box ドメインをもつタンパク質をコードしており、MUS-10タンパク質の機能にF-boxドメインは必須であることからユビキチン/プロテアソーム系を介したタンパク質分解経路で働くことが示唆された(Kato et al. 2010)。 MUS-10の機能をさらに解析するため、ミトコンドリア形態に注目し研究を行った。mus-10変異株ではミトコンドリアが断片化していたため、ミトコンドリアの融合がうまくいかない、もしくは、分裂が亢進していることが考えられる。ミトコンドリアの分裂に必須な遺伝子であるfis-1とmus-10の二重欠損株を作製した結果、二重欠損株ではミトコンドリア形態が野生株と似た形状を示しただけでなく、変異原高感受性や生育の早期停止もみられなくなった。このことはMUS-10タンパク質がミトコンドリア形態の維持に機能することにより、変異原高感受性や短寿命を防いでいることを示唆する。MUS-10はタンパク質分解経路で働き、分解される標的タンパク質と結合することが予想される。そのため、MUS-10と既知のミトコンドリア形態制御因子との結合をみた結果、ミトコンドリアの融合に関わるFZO-1と結合することが明らかとなった。FZO-1がMUS-10の分解の標的となっているかを調べるため、二重欠損株の作製を試みたが、fzo-1欠損株を作製することが出来ず、fzo-1は生育に必須である可能性が高い。また、mus-10変異株においてFZO-1を構成的に発現させることを試みた。 MUS-10がFZO-1の分解に働くのであれば、mus-10変異株ではFZO-1が蓄積しており、構成的に発現させることにより表現型の悪化がみられることが予想される。しかし、構成的なFZO-1の発現によりmus-10のミトコンドリア形態の異常、変異原高感受性、生育の早期停止がみられなくなった。以上より、MUS-10のミトコンドリア形態維持機構にはより複雑な仕組みがあることが示唆される。
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